HealthtechDB定例マンスリーレビューを開催、2022年5月のヘルステック領域のニュースの振り返りを実施
2022年5月のヘルステック領域のニュースを題材としたマンスリーレビューを6月2日に開催しました。本稿では今回のレビューで取り扱ったニュースとトークで出た注目ポイント・関連テーマを抜粋してイベントの様子をお届けします。
次回7/7(木)開催予定のマンスリーウェビナーの申し込みは、こちらのリンクからどうぞ!
2022年5月の国内のヘルスケア業界の出来事のまとめ
なかでも、6月2日のマンスリーウェビナーでは太字の項目に関して取り扱っています。
- 5.09 KidsPublicが遠隔医療相談サービスによる産後うつリスクの介入効果を発表
- 5.09 アイリスがAI搭載の新医療機器となるnodocaの製造販売承認を取得
- 5.12 メドピアがクラウドクリニックを完全子会社化
- 5.16 ネクイノが法人向け健康支援プログラム 「スマルナ for Biz」をスタート
- 5.17 FiNC Technologiesが日本郵政キャピタルとの資本提携を発表
- 5.18 インテグリティヘルスケアが、PHRと連携したリスク予測による受診勧奨支援を開始
- 5.25 TXP Medicalがインドネシアにおいて、救急診療の実証事業を開始
- 5.25 DeNAがアルムを約291億円で買収
5/9 KidsPublicが遠隔医療相談サービスによる産後うつリスク介入効果を発表
オンライン健康相談サービスによる介入で、産後うつの高リスク者の割合が相対的に33.5%低かったことを発表
株式会社Kids Publicは、横浜市「令和2・3年度オンライン健康医療相談モデル事業における成果連動型業務委託」(以下、モデル事業)における業務委託を受け、令和2年9月1日~令和4年2月28日まで横浜市に在住の妊産婦へオンライン医療相談(遠隔健康医療相談)や医療・健康情報を提供した。本事業に関して国立大学法人東京大学の研究チームからの学術的評価を受け、妊娠中からオンライン医療相談を提供されたグループでは産後うつ病高リスク者の割合が相対的に33.5%低かったことが示された。
企業ごとのエビデンス構築は有効であると考えられる
AMEDが今後ヘルスケアへの投資を増やしていくと公表しており、今後の投資を受ける際に、ヘルステック企業が各々でエビデンスを構築していくことは今後有効であると考える。
健康相談サービス自体の秘めているポテンシャルは大きいかもしれない
また、KidsPublic社独自でこの結果が出たという解釈だけでなく、健康相談サービスそのものがこの結果を出すポテンシャルを秘めていると読み替えることもできる。ゆえに、健康相談の類似サービスにもチャンスがあるということではないか。今後、各健康相談サービスでは、クオリティや仕組みの担保が大切になると考えられる。
5/16ネクイノが法人向け健康支援プログラム「スマルナ for Biz」をスタート
オンライン診察プラットフォームとして、今後のスマルナの動向に注目が集まる
to C向けのピルサービスの業界は徐々に飽和しつつあり、今回の法人向けサービスは新しいマネタイズモデルの一環かと考えている。これまでは主にサービス未使用者に対しスマルナの導入をおこなっていたが、今後は競合であるルナルナやクリニックフォアのユーザーの乗り換えも必要となると考えられ、今後の動向に注目が集まる。
5/18インテグリティヘルスケアが、PHRと連携したリスク予測による受診勧奨支援を開始
オンライン診療領域の企業は今後の事業方針を模索中か?
オンライン診療が最初の期待値ほど市場として伸びないことを背景に、各オンライン診療領域の企業は、様々な活用方法を模索している段階なのではないか。その中で、メドレー社は違った動きをしていると考えている。
5/25 DeNAがアルムを約291億円で買収、医療DX領域に活路
2022年5月25日、株式会社DeNAはJoinやMySOSなどの医療機関向けアプリケーションを手掛けるカブ漆器会社アルムを子会社化することを発表した。買収額は約291億円。これによりアルム社の57%の議決権を所有することになる。
アルムはデジタルヘルス領域の先駆者的存在である
アルムは「Join」のサービスを通して、保険点数とプログラム医療機器が絡んだ初めての先行例を出すなど、リーマンショック後のデジタルヘルス領域を引っ張ってきた先駆者的存在であると考えている。
DeNAはヘルスケア事業として主に遺伝子検査事業と健康保険組合向けサービスを提供する
決算説明資料によると、DeNA社はエンターテイメント領域で事業を伸ばしているが、社会課題領域としてヘルスケア事業に取り組んでいる。ヘルスケア事業の売上のメインとなるのは、遺伝子検査事業の「MYCODE」と健康保険組合向けに提供されているサービスの2つである。
健康組合保健サービスでは、さまざまな事業提携を結ぶことで、1,500万人の保険者データと4,000万人規模の医療機関データを保有し、日本最大のデータベースを保有している。また、他にもDeNAの認知症事業には今後も注目に値する。
今回のアルムの買収は、共に有望な事業である「Join」と「MySOS」とのシナジーを感じて行われた買収というよりは、今後の両事業の成長継続性を見込んだことによる意味合いが強いのではないかと考えている。
次回ウェビナー開催のお知らせ
7月7日(木)の12:00-12:45に次回のマンスリーレビューを開催する予定です
次回分のチケットはこちらから予約可能なので昼ご飯のお供に是非ご参加ください。