本記事は、1月27日に開催しました直近1ヶ月のヘルステック領域のニュースを題材としたマンスリーレビューウェビナーをもとに作成しております。取り扱ったニュースとトークで出た注目ポイント・関連テーマを抜粋してお届けします。
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2023年1月の国内のヘルスケア業界の出来事のまとめ
マンスリーレビューウェビナーではこのうち、太字の項目に関して取り扱っています。
- 1/10 日本調剤 オンライン診療サービス「J:COMオンライン診療」に対応しテレビを使ったオンライン服薬指導を提供へ
- 1/12 メドメイン 多臓器において腺癌を高精度に検出する病理AIの開発に成功
- 1/12 サプリム 心臓リハビリテーション指導士による在宅での運動支援サービス「リカバル」を提供開始
- 1/13 ウェルナス 世界初となる食の個別最適化サービス 「NEWTRISH」スマートフォンアプリケーションの提供を開始
- 1/13 リンケージ 世界初、オンライン診療を活用した加熱式たばこの禁煙治療の長期成績を検証
- 1/16 メデリ 「メデリピル」リリース1周年を記念しファクトブックを公開 LINE友達登録数9万人を突破
- 1/16 レイヤードがMDV、メディパル、FVPと資本提携
- 1/16 Neautech オンライン美肌治療のサブスク「ANS.(アンス)」が2023年1月16日(月)に本格ローンチ
- 1/18 デジタルバイオマーカー開発のテックドクター、複数のウェアラブルデバイス・医療機器との連携を開始
- 1/18 emol 妊産婦向けメンタルセルフケアプログラム「emol for Maternity」平塚市で導入開始
- 1/23 LINEで届く『わたし漢方』、友だち登録者数が10万人を突破
- 1/23 MICIN オンライン診療サービス「curon 」が電子処方箋に対応
- 1/24 日本調剤 オンライン診療「LINEドクター」でオンライン服薬指導を開始
- 1/24 卵子凍結保管サービスGrace Bankを運営するグレイスグループ、美容脱毛サロンのミュゼプラチナムと連携し、女性のキャリア形成とライフプランをサポートする『プレコンセプションケアプロジェクト』を開始
- 1/25 MICIN 呼吸音を取得するアプリ「生体音測定アプリ」の医療機器製造販売承認を取得
- 1/25 精神疾患向け治療用アプリ開発のemol、2023年より開始する臨床研究に向けて資金調達を実施
- 1/26 日本調剤、2023年内早期の全薬局での電子処方箋対応を目指し、本日より一部の薬局にて運用開始
1/12 サプリム 心臓リハビリテーション指導士による在宅での運動支援サービス 『リカバル』を提供開始
エムスリーならではのマネタイズに注目
Remohabなど遠隔で心臓リハビリテーションを先行する企業がある中で、今回ライトプランとスタンダードプランという2つの選択肢を出してきたところにエムスリーらしさが出ている。
現状どのプランでどんなサービスが受けられるのかという詳細は不明であるが、本格的に活用しようとするとおそらくスタンダードプランになると想像される。しかしマーケティングの視点から見ると、3000円台でサービスが受けられるという印象を与えられるため非常に効果的である。
まずライトプランで認知度を高めていき、よりサービスの充実しているスタンダードプランに移行してもらう方法で、最終的には10000円/月程度(8250円+1650円)の事業への成長が見込める。
Amazonでも似たような手法が見られる
1月24日にはAmazonが月額5ドルの固定費用で処方薬を無制限に入手できるサブスクリプションサービスを、米国のプライム会員向けに開始すると発表した。このRxPassと呼ばれるサービスは高血圧や胃酸逆流など、80を超える一般的な疾患に対応するジェネリック医薬品を配送する。
とはいえ、本当に5ドルだけで配送してもらえるわけではなく、ベースに年139ドルのアマゾンプライムが課金されるため、トータルコストは144ドルになるというカラクリだ。だが、”5ドルで無制限”というキャッチコピーのインパクトは大きい。
マーケットに向けて価格をどう表現するか、サプリムやAmazonの事例は参考になりそうだ。
1/16 レイヤードがMDV, メディパル, FVPと資本提携
今回の資本提携により地方から全国へ事業が広がるか
レイヤードは聞き慣れない方もいるかもしれないが、2022年7月にメディアコンテンツファクトリーから社名変更した経緯がある。医療現場のインターフェイスのDX化を通じて、患者と医療者のコミュニケーションの円滑化を図る企業だ。
クリニック向けサービスとしてかなりのシェアを獲得しており、資本提携を通じたさらなる事業拡大を通じて、今後上場を視野に入れていると考えられる。
このようなサービスは東京から始めるとシェアを取るのがかなり難しいため、東京以外のもう少し地方から基盤を作るビジネスモデルのほうが適切かもしれない。エンジニアなどのヒューマンリソースを確保しやすいという点でも、レイヤードが福岡で足場を固めるというのは納得がいく。
1月日本調剤の動向
1月、日本調剤のオンライン診療に関するリリースの多さは際立つ
今月だけで日本調剤は10日にJ:COM、24日にLINEドクターと連携しており、オンライン診療への期待が高まる。
患者が医療機関に期待する価値を因数分解すると、診断や処方といった機能的側面と医師と話すことによる安心感などの情動的側面の2つがある。オンライン診療はそのうち機能的側面に特化しており、LINEドクターでも希望する薬の選択から始まることにより処方に重きを置いていることが分かる。情動的側面に必要な医師や薬局は自動でマッチングされる仕組みだ。
LINEはヘルスケア領域での存在感があまり高まらず問題となっていたが、9000万人以上のユーザーという圧倒的な強みがある。LINEアプリ内の広告表示などで認知度を高められれば、他企業との差別化を図ることができるのではないだろうか。
電子処方箋の早期対応で、優位性を確立できるか
医療のデジタル化を推進するにあたって、厚生労働省は1月26日から電子処方箋の運用を決定した。それを受けた日本調剤の対応となる。日本調剤は以前から遠隔医療学会にも参加するなど、遠隔医療に積極的だ。
一方長期的な視点では、電子処方箋の対応で先行することでどのくらい優位性に繋げられるかが課題になる。LINEドクターとの連携を含めて、1つで完結できるサービスを提供できると良いのではないだろうか。
また引き続き薬局については、Amazonの動向にも注視する必要がある。
1/25 emol 2023年より開始する臨床研究に向けて資金調達を実施
emolは治療用アプリに必要な2つのポイントをおさえている
治療用アプリにおいては2つのポイントが重要である。
1つはいかに非医療機器での認知行動療法プログラムでUI/UXを高めるとともに(疾患の予防や治療を直接意図しない)効果が出せるか。もう1つは医療者や学会との開発の座組である。医療機器承認、さらには保険適用を目指した場合に学会などと連携していると非常にスムーズに進めやすい。
精神疾患に対する治療用アプリを開発する企業のなかで、emolはその2点において秀でた企業として注目していきたい。
次回のマンスリーウェビナーは2/24(金)正午からです!
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