治験患者の集患ビジネス

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治験患者の集患ビジネス

治験患者募集とはどんな事業領域か?

「治験」とは、「薬の候補」を健康な成人や患者に使用して、効果、安全性、治療法などを観察する目的で行われる「臨床試験(新しい薬や治療法の効果や安全性を科学的に調べる方法)」のことです。「治験」の結果を厚生労働省に申請し、薬としての使用を承認されて、ようやく医療現場での使用が可能となります。

この「治験」は患者数が集まりにくい、事務手続きやデータ取得が煩雑など様々な問題があります。治験患者募集などの治験事業はこれらの課題解決を行う事業分野です。マネタイズとしては治験患者の必要な製薬企業や大学から登録料を回収、治験募集をサイトで呼びかけることで広告費を回収などがオーソドックスなものです。

治験患者募集流域における課題

  • 日本国内での治験患者の集患が難しくなっています。
  • なぜなら、がん患者や希少疾患治験など、適応条件が厳しく、患者を見つけられないためです。
  • またコロナウイルスで人との接触を避ける関係から手続きを行うこと自体が難航しています。
  • コロナウイルス治療薬の治験も患者を集められず、抗インフルエンザ薬の「アビガン」を新型コロナ治療薬とする治験がうまく進めることができませんでした。

以下では、治験領域に強い2社の取り組みについてまとめてます。

3Hグループの3つのサービス

3Hグループは、安藤 昌 氏が2005年2月にクリニカル・トライアル社(現3Hクリニカルトライアル)を設立後、被験者募集を中心に新薬開発支援を通して、成長してきました。事業拡大に伴い、3Hホールディングス株式会社を主体としたグループ経営となっています。「誰もが”らしく”生きる社会の実現」をミッションとしており、医薬・医療機器開発支援に始まり、医薬・医療機器マーケティング、医療・健康情報提供、医療機器の製造・販売、食品・化粧品の開発支援、研究事業なども行っています。

【参考】

生活向上web

3Hクリニカルトライアル株式会社が運営しています。「生活向上WEB」は、薬剤治験(臨床試験)、トクホ健康食品、美容コスメなどのモニター情報サイトです。 治験・臨床試験などのモニター情報だけでなく、リサーチ案件の募集などもあります。 罹患者だけでなく、健康な方を対象とした治験(臨床試験)や、健康食品や化粧品モニターなども網羅しています。 メルマガ登録やポイント制度なども導入されおり、現在90万人を超える会員数を誇り国内最大級の規模を持っています。

【参考】https://www.seikatsu-kojo.jp/

オンコロ

がん情報サイト「オンコロ」は3Hメディソリューション株式会社/3Hクリニカルトライアル株式会社が運営するWebサイトです。治験・臨床試験を中心とする、がん医療情報を患者さん・ご家族・またがん医療に関わる方々に対しわかりやすく発信をしています。掲載している治験広告についてはお電話・メールで問合せ可能な窓口を設けています。国立がん研究センター中央病院など多くの大規模病院が行なっている臨床試験の進行状況や登録検討が可能です。治験者の集客だけでなく、治験情報の提供、病気の基本情報の提供、患者体験談の共有なども行なっています。

【参考】https://oncolo.jp/

Rare.S

RareS.(レアズ)とは、3Hクリニカルトライアル株式会社が運営する難病・希少疾患に関する情報を配信するWebサイトです。希少疾患は「対象患者数が本邦において5万人未満であること」と定義されています。それらは重篤で、進行性、原因は不明で、治療法が確立されておらず、長期にわたる治療が必要となる病気です。診断・治療に精通した医師も限られるため、病名が分かるまで長い期間原因不明の症状に悩み、身近に同じ疾患に罹患している方がいないため相談相手も見つからず、患者会がない疾患も多く存在します。希少疾患領域では、全てにおいて情報が不足しておりインターネットで検索しても、自身に有用な情報にたどり着くには労力を要します。RareS.は有益な基本知識や治験情報を、患者さん、ご家族、支援者、医療関係者などに提供することを目的としています。治験者の集客だけでなく、治験情報の提供、病気の基本情報の提供、患者体験談の共有なども行なっています。治験者の集客だけでなく、治験情報の提供、病気の基本情報の提供、患者体験談の共有、コミュニティ形成なども行なっています。

【参考】 https://raresnet.com/

M3子会社の2社をそれぞれサービス含め紹介

株式会社MICメディカル

1986年創業、2007年11月ジャスダック証券取引所へ株式上場、2012年エムスリー株式会社、株式会社メディサイエンスプラニングと資本業務提携、2015年エムスリー株式会社の100%子会社となり現在に至っております。事業としては、医薬品や医療機器の臨床開発に関する業務 、医薬品や医療機器の製造販売承認申請支援業務、医薬品や医療機器の製造業許可及び製造販売業許可申請支援業務、海外進出支援、日本市場参入支援などを行なっています。

【参考】https://www.micjp.co.jp/

株式会社QLife

2006年創業、2016年エムスリーグループに参画し現在に至っております。事業としては、生活者の病気の認知、受診、治療とその継続というjourney mapに従うような形で正しい医療情報の提供、病院検索、薬剤情報や治験情報の提供、治療の継続支援ツールの提供をアプリを通じて行なっています。具体的には家庭の医学、がんプラスなどの情報メディア、QLife治験情報サービス、Lineのチャットボット、日記形式の服薬管理ツールがあります。治験情報サイトは登録者数約60万人で日本最大級の治験パネルを運営しています。

【参考】https://www.qlife.co.jp

その他治験患者集客企業紹介

株式会社エディハス

代表取締役は川辺徹明氏で、北海道に本社があります。事業内容は治験、臨床試験、臨床研究の被験者募集、管理です。

【参考】https://edihas.co.jp/

株式会社SOUKEN

株式会社SOUKENは、ヘルスケア製品のデータを取得する臨床試験機関です。食品・医薬品、化粧品、医療機器、健康美容機器等をはじめ、様々な臨床試験を行っています

【参考】 http://www.souken-lab.co.jp/?gclid=Cj0KCQjwkZiFBhD9ARIsAGxFX8AwvbQ-W0ddPHZoX0hWhgiSTGXujO5MVG2NpTduLcjV-MeGqjWX16UaAuSHEALw_wcB

株式会社EAS

2019年に二分 茂礼氏により企業、機能性食品、サプリメントなどの治験社募集事業を行なっています。

【参考】https://eas-ct.jp/index.php/about-us/

治験ジャパン

運営会社は株式会社feileBです。治験支援事業を行なっています。

【参考】https://chiken-japan.co.jp/

Richmond Pharmacology

有償ボランティアの協力によって医学研究を行い、世界有数の製薬会社、及びバイオテクノロジー関連企業に代わって新薬開発の支援をしているイギリス最大の医薬品開発業務受託機関です。

【参考】https://www.trials4japanese.co.uk/

治験バンク

2012年に東京で企業、治験参加者を募る事業を展開しています。

【参考】https://chiken-bank.com/

JCVN

株式会社JCVNサポートが運営しています。代表取締役は椙本忠広氏、臨床試験支援業務を行なっています。

【参考】https://www.jcvn.jp/

新規の治験患者集患モデル3社

株式会社MICINとシミック株式会社がMICIN開発のオンライン診療サービスをもとに、臨床試験・臨床研究等の医薬品開発支援への応用を目指し開発した「バーチャル臨床試験システム」です。

臨床試験での特殊なデータ収集要件を満たすためのeSource(Electronic Source Data:臨床試験の原資料となり得る電子原データ)機能を搭載した、国内初の臨床試験用オンライン診療システムです。 ビデオ通話機能を活用することで通院での受診回数を削減し、被験者の負担とコロナなどの感染リスクを低減します。

結果として、臨床試験の実施医療機関への通院が困難な患者様の試験への参加機会が拡がり、臨床試験の登録が促進され、早期の症例登録による臨床開発費削減に寄与することが期待されます。また、試験実施医療機関と被験者との間のコミュニケーションが促進され、服薬方法が複雑な試験薬のアドヒアランスの向上や、被験者の臨床試験の継続意思に関わる情報の速やかな伝達など、様々な効果も期待されます。

【参考】https://micin.jp/news/2238

Enroll

株式会社アルムが開発、患者への治験の案内と治験実施医療機関への紹介を促進する、患者リクルートメントソリューションです。自社で開発・提供する医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」で培われた医療関係者間のネットワークを活かし、患者さんへの治験の案内と治験実施医療機関への紹介を促進します。適格性判定チェックリスト(Enrollアプリ)と医用画像を、Joinを経由して医療関係者へ共有し、患者の紹介・相談をサポートします。治験フェーズだけでなく、市販後フェーズでの活用も可能です。

【参考】https://www.allm.net/enroll/

NEXT Stage ER

TXP Medical 株式会社が運営するNEXT Stage ERを使用しています。 急性期医療における臨床試験の患者リクルーティングは極めて難しいと言われています。なぜなら、治験介入までの時間制限が厳しいこと、患者発生の予測が不可能であり患者向け施策が全く機能しないことが理由として挙げられます。

NEXT Stage ERは患者搬送中から情報入力が可能なためスクリーニングを可能とします。入力された患者情報をもとに臨床試験の適格性基準と自動照合することでスクリーニングし必要に応じてPOP UPで「臨床試験候補患者」ということを医師に告知・認知を促すことで治験リクルーティングに繋げます。上記により、臨床業務中の医師への臨床試験の患者リクルーティングに関する「行動変容」の機会提供を可能としています。

【参考】https://txpmedical.jp/pharma/#clinical-trial

puzz

株式会社Buzzreachが運営しています。puzzは、製薬企業やアカデミア、医師主導で行われる治験を含んだ臨床試験、臨床研究の課題を解決する機能が搭載されたSaaS型の管理システムです。患者(被験者)向け治験情報マッチングプラットフォームsmt、患者(被験者)向け治験管理・リテンションアプリのスタディ・コンシェルジュ、も治験関連サービスとしてあります。

【参考】https://www.buzzreach.co.jp/

まとめ

  • 日本国内での治験は、対象患者を見つけることが難しく、集患で苦労していることが多い特徴があります。
  • 今後、オンライン診療を活用した、バーチャル治験等も進んでいくことが予想されます。
  • 株式会社アルムやTXP Medical 株式会社は救急領域で新たな強みを持つ治験リクルーティングを行なっています。
  • 患者集患ビジネスは、医療機関SaaSの登場やオンライン診療の拡大などによって、新たな局面に入りつつあると考えられます。



脳神経内科医師。予防医療(神経、宇宙、死生観、生活習慣病)が最大の関心事。 産官学民で力を合わせて持続的に楽しく、社会課題の解決ができればと夢見ている。 好きな食べ物は小豆(粒あん派)と果物サラダ。 学生時代に100kmマラソンとガンジス川でのバタフライを友人と達成している。