拡大するコロナワクチンの管理ニーズ
- 本邦でも2月14日に米ファイザー社,5月21日に英アストラゼネカと米モデルナのそれぞれのワクチンが厚生労働省によって承認されました。
- 医療従事者,高齢者に優先的にコロナワクチンの摂取が始まり,徐々に一般の方々へのワクチン接種が開始すると考えられます。
- では,各自治体や医療機関でのコロナワクチンの接種にあたって必要になるシステムにはどのようなものがあるでしょうか?
- 接種予約
- 案内 / Q&A
- 副作用管理
- 体調管理 などに関わるサービスを本記事では紹介していきます。
コロナワクチンについて
コロナワクチンについては,厚生労働省によって「コロナワクチンナビ」というサイトが運営されていますので,必要な情報がある場合はこちらを参考にされると良いと思います。( https://v-sys.mhlw.go.jp/ )
現在日本で承認されているワクチンは
- 米ファイザー
- 米モデルナ
- 英アストラゼネカ
の3社です。アストラゼネカに関しては,海外にて接種後に血栓を発症した症例が報告されているため,国内での接種はしばらく行われない見込みです。また,いずれのワクチンも接種が2回必要であると言う点に注意が必要です。
国での接種状況はこちらの首相官邸のページで確認出来るようになっています( https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html )。
現在は医療従事者,高齢者の接種が優先的に行われている状況ですが,順次その他の方々へのワクチン接種も開始していくと考えられます。厚生労働省は,以下の「接種についてのお知らせ」にて,「7月末を念頭に各自治体が 2 回の接種を終えることができるよう」進めていると記載しています(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00218.html )。 \
ワクチン接種を受けるためには,市町村から郵送される「ワクチン接種券」が必要です。ワクチン接種券が届き,ワクチンが接種できる時期になったら,ご自身でワクチン会場を探し,予約を取ります。これらのステップを踏むことで,ワクチンの接種が可能となります。
当日は身分確認証と接種券を持ち,ワクチンを接種します。接種が終わったら,ワクチンの製品名や製造番号が記入(貼布)された「予防接種済証」という紙をもらいます。これがワクチン接種の証明として大変大事なものになるので,しっかり管理しておくことが必要です。
詳しくは,「コロナワクチンナビ」のページにて簡潔に説明されていますのでご参照下さい(https://v-sys.mhlw.go.jp/flow/ )。
ピックアップするサービス
以下では,コロナワクチンの接種をサポートするサービスをご紹介していきます。
JMDC:「Pep Up ワクチン接種記録」
企業情報
- JMDCは,データとICTの力で持続可能なヘルスケアシステムを実現する」をミッションとして,医療ビッグデータを活用した取組みやサービス開発に取り組んでいる企業です。本サービスは,JMDCが提供している健康年齢(健康の指標)を維持・改善するためのプラットフォーム「Pep up」の新機能です。
サービス内容
- 接種情報の電子化
- ワクチン接種後に受け取る「予防接種済証」は紙媒体であるため,管理が難しかったり常に携帯できないと言った点を課題としています。本サービスでは,予防接種済証の情報を電子記録することが可能となり,情報を常にスマートフォンで確認することが出来るようになっています。
- 接種予定日の管理
- 接種予定日をメールでリマインドしたり,接種予定日をGoogle カレンダーなどに登録したりすることで,接種予約忘れを防ぎます。
- 接種したワクチンに関する情報提供
- 接種したワクチンの解説や,ワクチン接種についての情報などを通してワクチンについての知識を深めることができます。
- 疫学研究等への接種情報の活用
- ユーザーの同意の上で,ワクチン接種の情報と接種後の体調に関するアンケートの回答情報を,ワクチンの安全性や疫学研究などに活用します。
Ubie:「ワクチン接種Web問診システム」
企業情報
Ubieは,「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げ,AIをコア技術として,医療現場の業務効率化を図る「AI問診ユビー」と症状から適切な医療へと案内する「AI受診相談ユビー」を開発・提供している企業です。
サービス内容
「ワクチン接種Web問診システム」は,紙の予診票の記入の代わりに,事前に自宅などからWeb上で問診に回答できるシステムです。問診結果は接種会場と共有されているため,接種会場では自治体から発行された接種券番号のバーコードを提示することで,予診・ワクチン接種に進めるようになります。
ワクチン接種会場には多くの住民が集まる一方,従来のシステムでは接種の手続きに時間がかかっていたため,接種会場での感染拡大の防止が重要な課題でした。UbieはAIによる事前問診で会場での接種フローをスムーズにし,この課題を解決しようとしています。
また,事前のAI問診により,新型コロナウイルスに関連する症状を持つ方にはアラートを表示することが可能になるため,そういった方には事前に連絡を取ることで別日程や医療機関での受診といった適切な案内が可能となります。
Welby:「新型コロナワクチン接種前後の症状管理・共有PHRプラットフォーム」
企業情報
Welbyは, PHR(Personal Health Record)サービスを提供する企業で,糖尿病などの生活習慣病をはじめとして,様々な疾患領域の患者さんを対象とした治療支援デジタルサービスを提供しています。利用者は,自身の医療情報等を記録して管理したり,希望すればかかりつけ医と情報を共有するなどにより,それらの記録を通した指導を受けることもできます。
サービス内容
今回新たに提供されたサービスは,ワクチン接種前/接種後の問診記録の管理等ができる機能を設けたPHRプラットフォームです。 これによって,ワクチン接種の予定管理や,接種前後の体調変化のかかりつけ医・保健所への報告や相談がより迅速になります。 また,問診の情報が一元化されることにより,医療機関や保健所などの医療資源の最適な分配や,公衆衛生管理の支援につながることが期待されます。
ミナケア
企業情報
ミナケアは,「人々の健康を長く、手軽に守っていくことを目指し『投資型』医療を日本で最初に実現する」ことを目指して,病気になるまで待つ後手の医療から,健康に投資する企業や保険者経営へのシフトを支援するヘルスケアベンチャーであり,2020年末からは「正しく知ろうCOVID-19」という新型コロナウイルス情報サイトの開設を通じて、適正な感染症対策の推進にも取り組んでいます。
サービス内容
今回リリースされた「Health Amulet(ヘルスアミュレット)」は,日々の健康記録やワクチン接種の予約管理・記録管理ができる健康御守りアプリで,以下の様な機能があります。
- ワクチン接種予約日の管理
- ワクチンの接種予約日を登録し,リマインド設定をすることで打ち忘れを防止することができます。 \
- ワクチン接種記録の管理
- 自治体から配布されるワクチンの接種券や,ワクチン接種時に受け取る接種済証などの大切な書類を画像として保存し,必要に応じて参照することができます。
- 情報提供
- ワクチンの接種予約日や実際の接種日を登録すると,ワクチンについての情報が届くようになっています。これにより,ワクチン接種における不安を軽減することができます。
- 日々の健康記録の管理
- 体重・食事・睡眠・運動などの記録を一元管理することができます。ここにワクチン接種前後の体調を記録しておけば,医療機関を受診する際のメモとして用いることもできます。
- 健康診断結果・医療機関受診歴などの閲覧
- 加入している健康保険組合等が同アプリと別途契約している場合のみ,過去に受診した健康診断の結果や,医療機関の受診履歴や,お薬の処方履歴などを閲覧することができます。
- ヘルスケアポイント
- 同じく加入している健康保険組合等が同アプリと別途契約している場合のみ,アプリを継続して使用することでヘルスケアポイントがたまり,商品と交換することが可能です。
hey : STORES
企業情報
heyは,「『Just for Fun』をミッションに、こだわりや情熱、たのしみによって駆動される経済の発展を支援してい」る企業です。ネットショップ開設やキャッシュレス決済,オンライン予約システムなどのオンラインでの商売をサポートする「STORES プラットフォーム」を展開しています。 \
サービス内容
STORES 予約を活用した「新型コロナウイルスワクチン接種予約システム」を通して,新型コロナウイルスワクチン接種の提供を行う自治体などの予約管理業務の効率化の支援を行います。
本システムの活用によって,自治体職員の予約受付や手入力業務が軽減されると共に,ワクチンの在庫・接種数を一元的に管理できるようになるため,利用者側も24時間いつでもワクチンのオンライン予約をすることができるようになります。 \
RESERVA:「コロナワクチン接種専用予約管理システム」
企業情報
RESERVAは,オンラインでの予約受付・顧客管理などを自動化できるシステムを個人事業主から大企業まで,業種を問わず提供しているオンライン予約管理サービスに特化した企業です。
サービス内容
新型コロナウイルスのワクチン接種予約の予約、及び予約管理を行う自治体向けのシステムです。自治体が住民情報をRESERVAに登録し,発光されたログイン情報を住民に郵送します。郵送された情報を用いて住民が利用者登録をすることで,電話やWebなどを通した接種予約可能となり,自治体側はその予約をリアルタイムで管理することができます。
まとめ
- コロナワクチンに向けたサービスをこうしてまとめてみた結果,これらは「利用者の体調管理 / 健康相談」や「利用者のワクチン予約 / 関連書類管理」などの利用者サポートと,「接種現場での業務の効率化」「自治体などの運営側の管理サポート」などの運営側のサポートに大別されると感じました。
- しかし,いずれのサービスも本記事では到底紹介しきれないほどに多くの参入企業があり,また各企業が互いにどのような差別化を図っているのかというところがなかなか見えづらいように感じました。
- また,ミナケアの「Health Amulet(ヘルスアミュレット)」のような新型コロナ対策として新たに生まれたサービスがワクチン接種を終えた後にどのように活用されるのかといった点にも着目したいところです。