エーザイがPHR企業であるArteryexを子会社化
2022年4月1日、エーザイ株式会社は、PHR領域のSaaS企業であるArteryex(アーテリックス)株式会社を株式買取、第三者割当増資の引受けによって子会社化したことを発表した。買収額は非公表。
エーザイは、今回の本子会社化後もArteryexの経営は現経営陣が引き続き執行するとしている。
エーザイ株式会社について
エーザイ株式会社は、1941年の設立以来医療用医薬品領域を中心に研究・開発、生産・物流・販売などの事業をグローバルに進めている製薬会社である。
特に、今なお十分な治療法が確立していない疾病が多くある「神経領域」と「がん領域」を重点領域として取り組んでおり、「神経領域」では病態生理学に基づく神経変性疾患に対する最適治療法の提供、「がん領域」では癌の進化とゲノム情報に基づく個別化医療による癌治癒の実現を目指している。
Arteryex株式会社について
Arteryex株式会社は2018年に設立され、医療、ヘルスケア領域におけるシステム・アプリケーションソフトウェアの企画開発を行ってきた。各方面に断片的に存在している医療の高度化に必要とされるデータを、ブロックチェーンやAIと言った最新のテクノロジーを組み合わせて最大限に活用することで、一人ひとりをより理解し、個々人に最適な健康管理・医療の実現をめざしてPHR領域でのプロダクト開発に取り組んでいる。
Arteryex株式会社の保有するPHRプロダクト
Arteryex株式会社の保有するPHRプロダクトとしては、①パシャっとカルテ②with LEAF③支えるノートを提供している。
①パシャっとカルテ
お薬手帳、血液検査や健康診断結果をスマートフォンで撮影・アップロードすることで、自動でデータ化する一般生活者様向けのアプリ。2020年11月にローンチ後、現時点で2万ダウンロードを突破。
②with LEAF
従業員の健康を促進して企業の生産性を向上させることを目的とした企業向けの社内健康管理アプリ。設定された歩数や距離について運動の実践を促すアプリ活用アクティビティで従業員の運動促進に寄与するとともに、日々の歩数や歩行距離、消費カロリーを記録し、健康状態や運動の状況に対するアウェアネスを高める。また個人やグループ間におけるチャット機能を有し、従業員間のコミュニケーションを活性化する。
③支えるノート
患者用のスマートフォンアプリと医療関係者専用の閲覧システムを連結することで、在宅患者の健康状態を医療従事者が把握できるようにするシステム。患者やその家族が服薬時の副作用発現状況を記録として確認できるとともに、日々の記録や健康状態について医療関係者への伝え忘れを防止することができる。
Arteryex株式会社の子会社化によってジタルソリューションビジネスの基盤強化と迅速な拡大を目指す
エーザイは、2021年4月にスタートした中期経営計画「EWAY Future & Beyond」において、視点を患者から生活者一人ひとりである「The People」に転換し、「The Peopleの“生ききる”を支える」をビジョンとして、AIなど最新のデジタル技術を用いたソリューションを展開し、「The People」の憂慮を取り除くことをめざしている。
今回の子会社化によって、エーザイはArteryex社が持つ開発能力ならびにPHRプロダクトを獲得することで、デジタルソリューションビジネスの基盤強化と迅速な拡大をめざすとしている。
具体的には、既存のプロダクトのさらなる利用者拡大に加え、同社の画像データからの入力技術・システムを活用した新たなアプリなどのプロダクト開発を推進するとともに、エーザイ社の創薬活動や疾患啓発活動で実践してきたデータマネジメントのノウハウを生かし、PHR関連プロダクトを通じて取得するデータについてグループとして利活用を進めるとしている。