GAFAMが仕掛けるヘルスケア戦略-Facebook編

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GAFAMが仕掛けるヘルスケア戦略-Facebook編

はじめに

  • GAFMAはヘルスケア投資を加速させています。 2020年は、GAFMAのヘルスケア関連の投資が、相次いで発表された年でした。
  • グーグル(アルファベット)、アップル、フェイスブック、マイクロソフト、アマゾンのIT大手5社がヘルスケア市場への進出を加速させており、それぞれが特定の領域に狙いを定めて動いています。 
  • 病気やコストの増加、医療サービスにもスピードと利便性を求める利用者の意識の変化など、医療を取り巻く環境は変化しており、医療関連組織は対応を迫られています。さらにテクノロジーの導入は、医療機関にとってコスト削減や収入増につながります。
  • デジタルトランスフォーメーション(DX)の本格化が必須となっている米国の医療機関や関連組織にとって、データの蓄積と技術力を持つIT大手5社は魅力的な連携先です。普及が進んできた電子カルテ(EHR)を組み込むために、インフラやIT戦略の再構築も求められています。
  • これらのIT企業によるイノベーションは、医療分野の関係者にとって多くのチャンスを生み出す一方で、既存組織の活動領域を侵食する脅威ともなっています。
  • 今回はGAFMAのヘルスケア戦略の中でもAmazonについてみていきます。

サマリー

  • Google         :得意の検索エンジン、AI技術で精密医療の研究開発に活用。 
  • Apple   :臨床研究にウェアラブルデバイスを役立てる取り組みを発展。
  • Facebook    :コンシューマー向けのウェアラブルデバイスと健康情報管理システムの開発
  • Microsoft    :医療機関向けのクラウドサービスに注力。
  • Amazon    :医薬品の宅配、医療用品の配送、遠隔医療など。

Facebook

SNSからスタートした企業もヘルスケア事業に取り組み始めています。

献血

https://socialimpact.facebook.com/health/blood-donations/

2017年から、Facebookユーザーが献血者として登録し、近くの血液バンクで血液が必要になったときに通知を受け取れるようにするツールが使われています。当初はインド、バングラデシュ、パキスタン、ブラジルで提供が開始されていました。現在は20程度の国と地域で、1億人に使用されています。

予防医療

https://about.fb.com/news/2019/10/connecting-people-with-health-resources/https://about.fb.com/news/2019/10/connecting-people-with-health-resources/

2019年10月に、Preventive Healthという予防医療のサービスを開始しています。ユーザーがフェイスブックのモバイル・アプリで「Preventive Healthと検索すると、年齢と性別に基づいた、提携先の保健機関が推奨する健康診断を見付けられます。 たとえば、45歳〜55歳の女性は、毎年マンモグラフィを受けるように勧められます。

保険

https://www.whatsapp.com/

2020年7月メッセンジャーアプリWhatsAppを通して、保険商品をレコメンドするサービスを、インドで試験的に開始しています。 保険を皮切りに今後は、金融、商業、教育、社会福祉へもサービスの展開が予想されます。。

非侵襲的神経インタフェースのCTRL-labs買収

https://tech.fb.com/inside-facebook-reality-labs-wrist-based-interaction-for-the-next-computing-platform/

2021年3月に手の動きだけでコンピューターを制御可能にする腕時計型デバイスを開発中&動画を公開しています。開発しているのは、脳からの指令で伝わっていく、神経ー筋肉の信号を、筋肉表面の電気活動から読み取り、動作に変換するものです。リストバンドは触覚応答も発生させ、手指の最小ジェスチャーだけでスワイプもキーボードのタイピングもゲームもできるようになることを目指しています。 この技術は脳卒中後後遺症や筋萎縮性側索硬化症(ALS)を抱える患者さんへの福音になるかもしれません。開発組織は2019年に約1000億円で買収され、現在ではFacebook Reality Labsへと統合されたコロンビア大学発スタートアップCTRL-Labsです。この研究の発端は、ARグラスにおける入力装置(映し出された画面の操作)をどうするかという課題から生まれています。

FacebookReality Labs(FRL)ブレインコンピューターインターフェイス(BCI)

https://tech.fb.com/bci-milestone-new-research-from-ucsf-with-support-from-facebook-shows-the-potential-of-brain-computer-interfaces-for-restoring-speech-communication/

2017年に設立されたFacebookReality Labs(FRL)のブレインコンピューターインターフェイス(BCI)プロジェクトです。当初の目標は非侵襲的な方法の開発でした。2021年7月14日付でFacebook Reality Labsは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者チームの共同研究としてプレスリリースを出しています。今回の研究ではニューラリンクと同様に脳インプラントが利用されています。脳インプラントから送られた信号が、「脳信号処理」「発話検知」「単語分類」「言語モデリング」といったコンピューター処理をへて、画面に出力されていきます。脳信号を使って1分間に100単語を出力が可能、1分間15単語で出力する場合は言葉の精度の中央値は74%だったと発表しています。しかしBCIについては一旦投資を終了する方針を固めていることも同時に発表しています。長期的な視点ではBCIのポテンシャルを認めつつ、開発に時間やコストがまだまだ必要なこと、商用化に近いリストバンド型コントローラーへの注力したいことなどが理由と言われています。

その他

2021年4月にはドイツのヘルムホルツ協会研究センターとのがん領域における薬剤使用の共同研究の開始を発表しています。既知の薬物相互作用の学習用データから、未知の薬剤の組み合わせで生じる相互作用の結果をCompositional Perturbation Autoencoder (CPA)と呼ばれるオープンソースで外挿するAIモデルの構築を試みています。 将来には、創薬や新しい治療手段を通じたオーダーメード治療に繋げる可能性があります。
スマートウォッチは現在開発中とのことです。2022年に発売する可能性示唆しています。VRのオキュラスのヘルスケア転用なども今後ありうるかもしれないと言われています。

【参考文献】
https://tech.fb.com/bci-milestone-new-research-from-ucsf-with-support-from-facebook-shows-the-potential-of-brain-computer-interfaces-for-restoring-speech-communication/
https://socialimpact.facebook.com/health/blood-donations/
https://about.fb.com/news/2019/10/connecting-people-with-health-resources/
https://www.whatsapp.com/
https://www.firstpost.com/tech/news-analysis/facebook-fuel-for-india-2020-whatsapp-to-launch-insurance-and-pension-products-in-india-by-year-end-9120821.html
https://twitter.com/boztank/status/1402682901787934724
https://venturebeat.com/2021/04/16/facebook-claims-ai-can-predict-drug-combinations-to-treat-complex-diseases/
https://tech.fb.com/bci-milestone-new-research-from-ucsf-with-support-from-facebook-shows-the-potential-of-brain-computer-interfaces-for-restoring-speech-communication/
https://tech.fb.com/inside-facebook-reality-labs-wrist-based-interaction-for-the-next-computing-platform/

まとめ

  • Facebookのヘルスケア領域について見てきました。
  • デバイス関連を含めて今後も目が離せません。

Healthtech DB編集部です。Healthtech DBは国内のヘルステック領域に特化したビジネスDBです。日々のヘルステック業界の動向に関する記事作成やウェビナー運営、企業・サービスに関するビジネスDBの構築を行っています。