エア・ウォーター、リモハブを買収

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エア・ウォーター、リモハブを買収

産業ガス大手のエア・ウォーターは遠隔医療に取り組むリモハブを買収

産業ガス大手のエア・ウォーターは、3月11日付で遠隔医療に取り組むリモハブを買収したことを発表した。ベンチャーキャピタルからリモハブの株式を譲り受けたことに加え、第三者割当増資を引き受け、発行済み株式の63%を取得した。買収額は非開示。

エア・ウォーター社について

エア・ウォーターは、ほくさん、大同酸素、共同酸素の3社が合併し、高炉向けの大型オンサイトを事業の基盤としつつ地域拠点のシリンダー供給等も行う総合ガスメーカーとして2000年に誕生した会社である。その後は積極的なM&Aにより事業基盤を強化するとともに事業領域を広げ、現在では医療関連事業も行っている。

医療関連事業としては、医療現場に欠かせない酸素等の医療用ガスをはじめとし、高度化する先端医療の現場である病院設備・病院業務のアウトソーシング受託、医療機器のメンテナンス業務やデンタル、衛生材料、注射針といった製品・サービスの展開を行っている。

リモハブについて

リモハブは、循環器専門医である代表・谷口氏が2017年に創業したスタートアップ企業である。同社は、遠隔モニタリングを用いて心疾患患者に対するリハビリ療法を在宅で行う「オンライン管理型心臓リハビリシステム」の開発に取り組んでおり、2024年度の実用化を目指して、現在、医師主導治験を進めている。

心臓リハビリテーションとは、心筋梗塞や心臓手術後など心疾患をもつ患者が病態の進行を抑制・軽減を目的として取り組む治療プログラムである。これによって再発リスクや再入院率が低下するなどの効果が認められているにもかかわらず、社会的な認知不足に加えて、仕事の都合や病院が遠いといった事情により、通院での実施・継続率は低くとどまっている。

同社はこの課題を解決すべく、病院から遠隔制御による管理・機器調整を行うことで、在宅で患者が安全に適切な心臓リハビリテーションができるようなシステムの実用化を進めている。具体的には、患者が装着するウェアラブル心電計やIoT型バイクを通じて、病院側がリアルタイムに患者の姿や生体情報をモニタリングできるような仕組みの開発に取り組んでいる。

今回の買収によって在宅医療を医療関連事業の中心に据える体制を構築

エア・ウォーターによる今回の買収によっては、2024年度中の実用化を目指す「オンライン管理型心臓リハビリシステム」の営業活動にあたって販路を活用していくことが見込まれるほか、リモハブが持つ遠隔モニタリング技術の応用も検討されている。

在宅医療領域は、COVID-19パンデミックにより世界的にCAGR8.4%で市場成長が見込まれるとされている。同社は、この買収を機に、在宅医療領域を医療関連事業の中核に据えるとしている。

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