解禁からどうなった?薬局のオンライン服薬指導

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解禁からどうなった?薬局のオンライン服薬指導

オンライン服薬指導の解禁

  • 2015年の日本再興戦略において「特例として国家戦略特区でのテレビ電話を活用した服薬指導が可能になるよう、法的措置を取る」という方針が明記されたことを発端に、本邦でも着実に法整備が進んでいたオンライン服薬指導。
  • 2019年12月の薬機法改正を受け、2020年9月よりオンライン服薬指導は解禁となる予定でした。
  • しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大により、医療現場を取り巻く状況が一変。
  • 2020年4月には「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」が厚生労働省より発出され、「電話等による服薬指導」に関する一時的な対応(「0410対応」)が出されるに至りました。

改正薬機法と0410対応の要点

  • ここでは、2019年12月に制定された改正薬機法と、コロナ禍を受けて2020年4月に発出された0410対応のそれぞれについて、その違いを中心にまとめたいと思います。

1:患者要件について

  • 改正薬機法に基づくオンライン服薬指導は、オンライン診療時に出された処⽅箋に基づく服薬指導と、在宅・訪問診療時に出された処⽅箋に基づく服薬指導の二種類があります。
  • つまり、逆に言えばこれらの条件(オンライン診療を受けている、または在宅・訪問診療を受けている)を満たさなければオンライン服薬指導は受けられないということでした。
  • その一方で、0410対応では患者が希望している場合であれば、生じうる不利益やオンライン服薬指導の概要を十分に説明、またその記録を取ることを条件に処方箋の制限なくオンライン服薬指導を行うことが認められています。

2:処方について

  • 改正薬機法では、処方箋は医療機関から薬局への送付が原則であり、処方箋が到着してから患者への薬剤の受け渡しが可能となります。
  • 一方で、0410対応では医療機関から薬局へのFAXでの処方箋の送付により薬剤の配送が可能となっています。ただし、原本は後から別に薬局に配送する必要はあります。
  • さらに、薬剤の種類に関しても改正薬機法の定義するオンライン服薬指導では従来に処方したことのある薬剤と同種のものである必要があることに対して、0410対応では一部処方制限があるものの、基本的に要件はなしとされています。

3:フォローについて

  • 改正薬機法では、初回の服薬指導は対面で行うことが原則とされており、その後のフォローに関しても対面とオンラインを組み合わせることが義務づけられていました。
  • それに対して、0410対応では初診での服薬指導もオンラインで可とされており、フォローアップにも特に対面で行うべきと言う縛りはありません。

4:電話での実施について

  • 改正薬機法では、オンラインでの服薬指導はビデオにてお互いの画面が見える状況で行われている必要がありました。
  • しかしながら0410対応では、患者、服薬状況等に関する情報を得たうえで、適切に行うことが可能と判断した場合であれば、電話などのビデオが使えないやりとりでもオンライン服薬指導を行っても良いとされています。
  • ただし、当然ではありますが、患者のなりすましや、オンラインであることによる患者のアドヒアランスの低下には注意を払う必要があり、状況に応じて対面での服薬指導の切り替える判断も必要です。

改正薬機法

0410対応

患者要件

オンライン診療または在宅診療
(基本的に初診は不可)

基本的に全て可

処方

処方箋は郵送
到着をもって処方が可能

薬剤は処方したことのあるもののみ

処方箋は FAXで可
ただし後日原本郵送の必要あり

薬剤の種類に原則制限なし

服薬指導

初回は対面のみ
フォローも対面とオンラインを混合

制限なし

通信手段

映像と音声の両方が必要

音声のみで可

  • オンライン服薬指導を行う薬局のホームページでの情報共有の有無など、その他にも改正薬機法と0410対応の間の違いは存在しますが、患者視点での大きな違いとしては上記の4点であると考えられます。

オンライン服薬指導の実例

ここでは、日本を代表する調剤薬局が実際に行っているオンライン服薬指導について、いくつかの事例をご紹介します。

クオール

全国に薬局・店舗を展開しているクオール株式会社は、オンライン診療システムの開発などを行っている株式会社メドレーの提供する調剤薬局窓口支援システム「Pharms」を導入しました。

画像出典:https://www.qol-net.co.jp/efforts/online.html

  • 患者は、まず電話などの機器を用いて病院やクリニックなどの医療機関を受診します。
  • その後、患者が希望する薬局に医療機関からFAX等で処方箋を直接送信します。医療機関から送付されるので、患者自身で処方箋を薬局に持って行く必要はありません。
  • 医療機関から処方箋を受け取ってから、薬局の薬剤師が患者に電話等でお薬の配送、支払いの方法などを含めて服薬指導の連絡をします。
  • それらが済んだ後に、患者の自宅にお薬が発送されます。
  • こうしたシステムによって、患者は外出の必要なくお薬を受けとることが出来る様になります。

出典:https://www.medley.jp/release/pharms-0903-3.html

  • こうしたサービスはメドレーの提供する「Pharms」の導入により成立しており、同じくメドレーの提要するオンライン診療・服薬指導アプリ「CLINICS(クリニクス)」を患者がダウンロードすることで、オンライン診療からオンライン服薬指導までの流れを一元化することができます。

日本調剤

  • 同じく全国規模で調剤薬局を展開している日本調剤株式会社は、都市部では全国初である千葉市での遠隔服薬指導事例など、調剤システムの開発で先陣を切ってきており、自社で開発した「日本調剤 オンライン薬局サービス」を2020年9月から導入しています。
  • その後2021年4月から株式会社MICINのオンライン診療サービス「curon(クロン)」とも連携することでオンライン服薬指導サービスを普及させています。

画像出典:https://www.nicho.co.jp/corporate/newsrelease/20200901_nr2/

  • 日本調剤が開発した「日本調剤 オンライン薬局サービス」には、普段使用している薬局での患者情報と連携することで簡単に登録することができます。
  • 患者はこのアプリにより希望の時間・希望の薬剤師を選択して服薬指導の予約をすることができます。
  • 実際に予約の日が訪れると、システムを通して患者・薬剤師間で画像情報を共有してオンライン服薬指導を実施することができます。

画像出典:https://www.nicho.co.jp/corporate/newsrelease/20210217_nr1/

  • また、クオールがメドレー社の「Pharms」を導入していた様に、日本調剤も株式会社MICINの提供するオンライン診療サービス「curon(クロン)」を2021年4月より導入しています。
  • この連携により、Curonにてオンライン診療を受けた後、そのままCuronのシステムから日本調剤の薬局によるオンライン服薬指導・薬剤配送までをスムーズに行える様になりました。

まとめ

  • 新型コロナウイルスの影響によって思わぬ形で推進されたオンライン診療・オンライン服薬指導。
  • 今回はそのうちのオンライン服薬指導について、2020年9月から施行されている改正薬機法と0410対応の2つの制度と、その中で実際にオンライン服薬指導を行っている2つの企業実例についてご説明しました。
  • 現状は新型コロナウイルスへの時限的措置である0410対応が施行されていますが、時限的措置である以上、0410対応が執行したあとにどういった運営をしていくのかといった点に注目が集まります。
  • 2021年6月18日に決定された規制改革実施計画では、オンライン服薬指導は患者対象をオンライン診療や訪問診療を受診した方に限定せず、薬剤師の判断によって初回からのオンライン服薬指導を可能とすることや、介護施設等に居住する患者への実施の制約は撤廃することなどが盛り込まれました。
  • 0410対応での時限的措置が少しずつ恒久化される動きが出ており、今後のオンライン診療・オンライン服薬指導の動きにも注目していきたいと思います。

その他参考文献

医学生。医学に留まらない医療に興味があり,国際保健や地域医療でのキャリアを志している。医学の中では精神科が興味分野。好物はチーズで趣味は競技かるた。