メディカル・バイオ・ヘルスケアVC:その1

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メディカル・バイオ・ヘルスケアVC:その1

日本のメディカル・バイオ・ヘルスケア領域のVCの活動状況は?

  • 過去10年強の間で、日本におけるバイオテクノロジーのスタートアップ企業数は約3倍に増加しています(2008年・2018年比)。
  • 過去5年間で、日本の診断・モニタリング技術や医療機器の企業に対するVC投資が4倍以上増加しています。
  • 今回は日本におけるメディカル・バイオ・ヘルスケアVCの投資事例についてリサーチしていきます。

株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ

https://www.globiscapital.co.jp/ja/

●概要 
総合的に支援する日本初の本格的ハンズオン型ベンチャーキャピタルとして代表取締役 堀 義人氏が1996年に設立しています。 2019年には400億円の第6号ファンドを設立しています。幅広いラウンドで投資をしていますが、シリーズA以降が中心のようです。。

●具体的な投資企業
・株式会社メドレー:オンライン病気辞典、オンライン診療システムなどのシステム開発
・株式会社カケハシ:薬局と患者を結ぶクラウド型電子薬歴システム「Musubi(ムスビ)」を展開
・株式会社AIメディカルサービス:内視鏡画像解析AIを開発する
・SDPジャパン株式会社:高い技術を備えた専門医向けに医療施設の開業を支援するプロデュース事業を展開
・株式会社よりそう:インターネットを介した葬儀・供養サービスの提供。
・ファストドクター株式会社:全国の医療機関から構成されている時間外救急の総合プラットフォーム「ファストドクター」の運営。
・株式会社YOJO Technologies:かかりつけオンライン薬局「YOJO」を運営。
など多数に投資しています。

●投資ステージ 
シード・ラウンドから時価総額1,000億円を超えるユニコーン・ラウンドまで(”First to Last”)継続的に投資支援しています。

●参考資
https://www.globiscapital.co.jp/ja/

株式会社ファストトラックイニシアティブ

https://www.fti-jp.com/

●概要 
2004年3月に代表パートナーを木村廣道、安西智宏氏として設立されています。バイオ・ヘルステック領域に特化したベンチャーキャピタルファンドの運営をしています。国内主要大学研究機関との強力なネットワークを生かし、アーリーステージのベンチャー企業への投資を行っておりバイオベンチャーエコシステムの構築に積極的に取り組んでいます。「ベンチャーのちからを、いのちへ、くらしへ」をミッションにライフサイエンス及びヘルスケア分野における投資及び企業支援を行うベンチャーキャピタルです。 2019年にはボストンに投資子会社を設立し、日本企業の研究開発支援及び投資先発掘を行っています。2021年2月には3号ファンドを組成し、これまでと同じくバイオ、ヘルスケア分野への投資及び企業支援を行うと共に、COVID-19に関連した事業を行う企業への投資も検討する予定です。ファンドの運用サイズについては、1号ファンド27.9億円、2号投ファンド71.2億円(運用中)、3号ファンド83億円(運用予定)となっています。

●具体的な投資企業
・株式会社モダリス:ゲノム編集酵素CRISPR-Cas9の改変技術に基づく独自のプラットフォーム技術CRISPR-GNDM
・メタジェンセラピューティクス株式会社:腸内細菌移植療法(FMT)に用いる製剤の開発と、腸内細菌叢データの活用によるマイクロバイオーム創薬に取り組む
・リーズンホワイ株式会社:「医療xIT」を軸に医療機関や周辺事業者へ提供するデータベース事業、および医師と医師、患者と医師をマッチングするサービス事業
・メディフォン株式会社:「電話/ビデオ医療通訳」、「医療機関向け外国人患者受入れ教育」、「外国人患者の医療費未払い防止」の事業
・ファストドクター株式会社:患者と医療機関をつなぐ時間外救急のサービスプラットフォーム「ファストドクター」を提供

●投資ステージ 
商品やサービスのプロトタイプ(モック)を持つアーリーステージからPreIPOまで幅広く投資しています(アイデアや企画のみの場合は対象外)。

●参考資料
https://www.fti-jp.com/

バイオ・サイト・キャピタル株式会社

https://www.bs-capital.co.jp/

●概要 
2002年12月に代表取締役の谷 正之氏が設立しています。主要事業は総合的インキュベーション事業で、具体的には、ラボ事業、投資事業、その他上記に付随する関連事業です。ライフサイエンス・バイオベンチャーの成長にはウェット実験可能な研究拠点が必要との考えから、投資育成事業だけに限らず、大阪(彩都)、神奈川(新川崎)、沖縄(うるま)の3拠点で7棟のレンタルラボを運営しています。運用中のファンドは2つありますが、ファンドサイズはネットの検索では不明でした。

●具体的な投資企業
・株式会社総合医科学研究所
・カルナバイオサイエンス株式会社
・株式会社スリー・ディー・マトリックス
・沖縄プロテイントモグラフィー株式会社
・アンチエイジングペプタイド株式会社
・ライトタッチテクノロジー株式会社
・株式会社e-NA Biotec
・MHペプタイド株式会社
・株式会社ミーバイオ
・BioAlchemy株式会社
・株式会社アイ・ブレインサイエンス
など多数に投資しています。

●投資ステージ 
商品やサービスのプロトタイプ(モック)を持つアーリーステージからPreIPOまで幅広く投資しています(アイデアや企画のみの場合は対象外)。

●参考資料
https://www.bs-capital.co.jp/

株式会社ヘルスケア・イノベーション

https://hcinnovation.jp/

●概要 
2017年2月に代表取締役会長 大滝義博氏、 代表取締役社長 宮田 満氏として、東京都で操業しています。急激に発展し続けているヘルスケア産業の担い手となる「未来を切り拓くヘルスケア関連ベンチャー企業」を見出し, 投資・育成することを目的に設立されました。プレIPO段階にあるバイオベンチャーと革新的な技術・製品シーズを持つベンチャー企業やベンチャー創業を考えているチームを投資対象としています。ファンドサイズは不明でした。

●具体的な投資企業
・株式会社CureApp:国内初の治療用アプリとなる医療機関向けの「CureApp SC ニコチン依存症治療アプリ及びCOチェッカー」の開発
・ノイルイミューン・バイオテック株式会社:「CAR-T療法」を主とした次世代型免疫療法の開発
・タグシクス・バイオ株式会社:人工塩基含有DNAアプタマー医薬品「Xenoligo」の研究、開発、創薬事業

●投資ステージ 
プレIPO段階にあるバイオベンチャーと革新的な技術・製品シーズを持つベンチャー企業やベンチャー創業を考えているチーム

●参考資料
https://hcinnovation.jp/

株式会社キャピタルメディカ・ ベンチャーズ

https://capimedi.com/cmv/

●概要 
設立は2016年11月で代表取締役 青木 武士 氏です。事業内容はベンチャー投資育成事業、勉強会、セミナー運営等を行なっています。投資金額 1千万円~数億投資対象です。技術シーズの段階から、大学、各省庁、協力者、専門家、投資家、事業会社とのネットワークを活かして、事業化を行っているベンチャーキャピタルです。ファンドサイズは神奈川県と12億円規模のファンドを作っていること以外は不明でした。

●具体的な投資企業
・Sketter
・KNOCK ON THE DOOR
・EMIMEN
・Adria kaimi
・MITAS Medical
・Epigno
・HCMJ
・株式会社ワンライフ
など他にも多数

●投資ステージ 
商品やサービスのプロトタイプ(モック)を持つアーリーステージからPreIPOまで幅広く投資しています(アイデアや企画のみの場合は対象外)。

●参考資料
https://capimedi.com/cmv/

D3 LLC | D3バイオヘルスケアファンド

●概要 
2017年2月にマネージング・パートナー 永田智也氏を中心に設立されています。「世界の医療健康への貢献」をミッションに、有望な科学技術シーズや事業アイデアへの資金提供(Discovery)に留まらず、経営者と伴に、有意義なプロダクト・サービスの創造とそれらを顧客に届けるためのビジネスモデルの構築(Development)を通じて、科学技術・アイデアの社会実装(Deployment)を志します。ベンチャーキャピタルに関しては、投資の数を目的とせず、バイオヘルスケア領域のグローバル・スタンダードにも従い、少数の投資先に丁寧な支援を行います。ファンドサイズは30億円規模の1号ファンドがあります。

●具体的な投資企業
記載なし

●投資ステージ 
ステージは問わないが、アーリーステージのバイオ・ヘルスケアスタートアップが中心と述べておりました。

●参考資料
https://www.d3growth.com/jp/

MedVenture Partners株式会社

https://www.medvp.co.jp/

●概要 
2013年に大下 創氏を代表取締役社長として創業しています。日本発の医療機器技術の商業化成功モデルを構築することを目的として設立された、国内初の医療機器分野に特化したベンチャーキャピタルです。医療機器分野の事業化においては、医療機器特有の課題や、事業化戦略が必要なため、開発に必要な各ステージにおける専門家を集め、独自の事業化支援を行っています。ファンドサイズは1号ファンドが60億円、2号ファンドが99億円(2019年)となっています。

●具体的な投資企業
・Biomedical Solutions株式会社
・C2Therapeutics, Inc.
・Cathera, Inc.
・Arrinex, Inc.
・株式会社mediVR
・株式会社Alivas
・株式会社Mari
など多数に投資しています。

●投資ステージ 
投資対象は、医療機器を主としたライフサイエンス分野における、ベンチャー企業を対象としています。対象ステージは、シード・アーリーからレートステージまでの全ステージが投資対象となっています。

●参考資料
https://www.medvp.co.jp/

株式会社 DCIパートナーズ

https://www.daiwa-inv.co.jp/dcip/

●概要 
代表取締役社長 成田 宏紀氏が2014年5月に東京で設立しました。事業概要はバイオ分野に特化したベンチャーキャピタルファンドの運営です。ファンド総額 1号ファンドが116億円、2号ファンドが140億円の規模で運用されています。創薬・再生医療分野に特化したベンチャーキャピタルです。 NIF(現大和企業投資)時代を通じて、20年以上バイオ分野への投資を行ってきた経験を生かし、特化型VCとして、国内最大の資金を運用し、将来の産業を担う成長企業へリスクマネーを供給しています。

●具体的な投資企業
・ノイルイミューン・バイオテック株式会社:「CAR-T療法」を主とした次世代型免疫療法の開発
・株式会社ボナック:「ボナック核酸」を利用した核酸医薬の開発。
・C4U株式会社:CRISPR/Cas3 を用いたゲノム編集技術に関する研究開発。
・桃太郎源株式会社:がん治療遺伝子REICをがんの治療薬として実用化するための製剤の開発、知的財産の獲得、臨床試験の実施などの創薬事業
など多数に投資しています。。

●投資ステージ 
日本と台湾の政府系機関や企業から出資を受け、日本と台湾のスタートアップに投資しています。

●参考資料
https://www.daiwa-inv.co.jp/dcip/

まとめ

  • 近年は国内外でヘルスケア領域の投資が増加傾向です
  • しかしながら日本国内企業で海外からの投資を受けている企業は少ない状況です。
  • 今後のグローバル展開を見据える上でも、国内外でのヘルスケア領域投資の動向には注意が必要です。

【参考文献】
https://capimedi.com/20210709pr/
https://capimedi.com/wordpress/wp-content/uploads/2021/06/Impact-Report-2020_CMV.pdf
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC3127G0R30C21A5000000/
https://fundpress.jp/clumn_vc-investcategoly/
https://www.siif.or.jp/assets/pdf/publication/2019_HNF_repot_final.pdf
https://www.siif.or.jp/assets/pdf/publication/2018_NHF_report.pdf
https://www.shonan-health-innovation-park.com/siteassets/pdfs/news/innovation-quarterly/vol.2_2021-04/2021-04-innovation-quarterly-03_vcreport_j.pdf

脳神経内科医師。予防医療(神経、宇宙、死生観、生活習慣病)が最大の関心事。 産官学民で力を合わせて持続的に楽しく、社会課題の解決ができればと夢見ている。 好きな食べ物は小豆(粒あん派)と果物サラダ。 学生時代に100kmマラソンとガンジス川でのバタフライを友人と達成している。