日本のメディカル・バイオ・ヘルスケア領域のVCの活動状況は??
- 過去10年強の間で、日本におけるバイオテクノロジーのスタートアップ企業数は約3倍に増加しています(2008年・2018年比)。
- 過去5年間で、日本の診断・モニタリング技術や医療機器の企業に対するVC投資が4倍以上増加しています。
- 今回は日本におけるメディカル・バイオ・ヘルスケアVC具体的な投資事例についてまとめていきます。
QBキャピタル合同会社
●概要
2015年に代表取締役社長である坂本 剛らによって福岡県で創業しました。「東京一極集中から脱却し、九州からアジア・グローバルマーケットを見据えた地域発イノベーションの創出を目指す。」をビジョンとしています。ファンドサイズとしては1号ファンドが31億円、2号ファンドも設立し50億円規模を目指しています。研究開発型ベンチャー支援事業に関するベンチャーキャピタル等の認定を受けています。
●具体的な投資企業
・株式会社ガイアバイオメディシン:九州大学発ベンチャーで、「高活性化NK 細胞様CD3 陰性細胞」を用いた進行がんをターゲットとした新治療薬の開発
・ジェイファーマ株式会社:タンパク質で細胞内外への物質輸送を担う「トランスポーター」を標的とした創薬を希求するベンチャー
・ひむかAMファーマ株式会社:アドレノメデュリンを活用したペプチド医薬品の研究開発
●投資ステージ
シード・アーリー段階です。
●参考資料
http://qbc.co.jp/
大阪大学ベンチャーキャピタル
●概要
2015年に代表取締役社長である清水速水らによって創業しています。「大阪大学をはじめとした国公私立大学の有する世界屈指の研究成果をグローバルな視点で社会価値を創出する事」をミッションとしています。大阪大学共創機構と連携しながら、大阪大学の研究成果の事業化にとどまらず、事業化候補の発掘、イノベーション人材育成、起業支援、イノベーション・エコシステムの構築等に積極的に取り組んでいます。
ファンドサイズとして1号ファンドが125億円、2号ファンドが106億円の規模となっています。
●具体的な投資企業
・株式会社マトリクソーム:多能性幹細胞及び組織幹細胞の培養・増殖、分化誘導、機能維持に有効な培養基材の研究開発及び販売
・株式会社ファンペップ:ペプチド医薬品の開発と販売
・株式会社リモハブ:遠隔医療のデザイン
・株式会社mediVR:VRリハビリテーション医療機器の開発と販売
●投資ステージ
大阪大学や他の国立大学の研究成果を活用したスタートアップ・アーリーステージ案件を中心としています。
●参考資料
https://www.ouvc.co.jp/
Asia Africa Investment and Consulting Pte. Ltd
●概要
2008年月に代表取締役社長である椿 進 氏らによって創業しました。「新興国/新分野において、知恵とお金と人を通じて、新しい価値を創造します。その機会を通じて自らも成長し、社会に貢献し物心ともに幸せになることを目指します」をビジョンとして取り組んでいます。新興国での投資育成事業、コンサルティング/M&A事業、経営者派遣/人材事業を並行して行なっています。ファンドサイズとしては2017年のもので22億円となっております。
●具体的な投資企業
・Rology:エジプトの遠隔放射線診断
・DentaCarts:歯科関連商品BtoBオンラインストアの
・Shezelong:オンライン・メンタルヘルス診断・相談サービス
・life bank:血液デリバリーサービス
●投資ステージ
アフリカ、アジアのスタートアップおよびアーリーステージの企業を中心に投資します。
●参考資料
https://www.aa-ic.com/
日本戦略投資株式会社 ティーエスアイ株式会社
●概要
2004年に代表取締役社長である佐々木美樹らによって創業しました。技術シーズの段階から、大学、各省庁、協力者、専門家、投資家、事業会社との良質なネットワークを活かすことが可能です。ファンドサイズとして20億円となっています。
●具体的な投資企業
・株式会社メドリッジ:イクロ・ナノレベルの微細加工技術と、センサやアクチュエータ、ロボットなどのシステム化技術を基盤とする技術プラットフォームを構築
・HuLA immune 株式会社:自己免疫疾患や新型コロナウイルスなどの診断薬/治療薬事業・臨床検査事業
●投資ステージ
全国の大学や研究所発ベンチャーの起業前段階、アーリーステージの企業です。
●参考資料
http://jstrategic.co.jp/
京都大学イノベーションキャピタル
●概要
2014年に代表取締役社長である楠美 公らによって創業しました。「世界トップレベルの研究機関である京都大学の研究成果を活用し、次世代を担う産業の創造に、投資活動を通じて貢献すること」を目的としています。現在は京都大学のみならず、他の大学発ベンチャーの支援も行なっています。“投資案件の発掘”のみならず “投資案件の組成”にも注力し、シード/スタートアップベンチャーへの投資に積極的に取り組んでいます。ファンドサイズ1号ファンドが160億円、2号ファンドが181億円となっています。
●具体的な投資企業
・株式会社Luxonus:光超音波技術を応用した画像撮影装置の製造・販売 ACT
・Genomics Holdings Company Ltd.:癌個別化診断サービスと創薬支援
・メロディ・インターナショナル株式会社:周産期遠隔医療プラットフォームにおけるモバイル胎児モニターの開発
・株式会社オリゴジェン:神経疾患領域の新規治療薬開発
●投資ステージ
投資案件の発掘、シード、スタートアップおよびアーリーステージの企業を中心に投資し支援しています
●参考資料
https://www.kyoto-unicap.co.jp/
ウエルインベストメント株式会社
●概要
1998年月に代表取締役社長である瀧口 匡らによって創業しました。「Empowering Innovation」を理念としています。早稲田大学アントレプレヌール研究会(WERU)を母体とし、日本で初めて大学資源を源流とするベンチャーキャピタルとして発足したとのことです。ファンドサイズとして時価ベースで約240億円のファンドを運用しています。
●具体的な投資企業
・CoreTissue BioEngineering:独自の脱細胞化技術を活用した動物由来の生体組織から作られる損傷組織再生のための植込み型医療機器の開発
・株式会社ファンペップ:ペプチド医薬品の開発と販売
・株式会社レグイミューン:自己免疫疾患・アレルギー疾患治療薬の開発酵素補充療法に伴う抗体産生抑制治療薬の開発
・メドケア株式会社:生活習慣病を中心とする慢性疾患に特化したオンライン診療サービス「Medically(メディカリー)」の提供
●投資ステージ
スタートアップおよびアーリーステージの企業を中心に投資し、創業当初から上場まで一貫して支援しています。
●参考資料
https://www.weruinvest.com/
株式会社日本医療機器開発機構(JOMDD)
●概要
2012年に代表取締役社長である内田 毅彦 らによって創業しました。「日本発の医療イノベーション活性化のためのエコシステムを構築する」をミッションとして、医療機器インキュベーション事業を軸に、日本の医療イノベーション・医療機器産業を活性化し、日本が同分野における世界のリーダーとなることを目指しています。ファンドサイズはサイトでは不明です。
●具体的な投資企業
・株式会社P・マインド:特徴的な複数の周波数の磁界を一定のアルゴリズムのもとで皮膚の上から照射し疼痛管理する技術の開発と販売
・AWAKENS, Inc.:誰もが自分自身のゲノムデータを持ち、信頼できる情報とサービスにアクセスするためのコンシューマー向けプラットフォームの提供
・株式会社Luxonus:光超音波3Dイメージング技術を用いた世界初の画像診断技術
・株式会社Save Medical:2型糖尿病患者向け治療用アプリ(Digital Therapeutics, DTx)
●投資ステージ
医療機器スタートアップおよびアーリーステージの企業を中心に投資します。
●参考資料
https://jomdd.com/
まとめ
- 近年は国内外でヘルスケア領域の投資が増加傾向です
- しかしながら日本国内企業で海外からの投資を受けている企業は少ない状況です。
- 今後のグローバル展開を見据える上でも、国内外でのヘルスケア領域投資の動向には注意が必要です。
【参考文献】
https://capimedi.com/20210709pr/
https://capimedi.com/wordpress/wp-content/uploads/2021/06/Impact-Report-2020_CMV.pdf
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC3127G0R30C21A5000000/
https://fundpress.jp/clumn_vc-investcategoly/
https://www.siif.or.jp/assets/pdf/publication/2019_HNF_repot_final.pdf
https://www.siif.or.jp/assets/pdf/publication/2018_NHF_report.pdf
https://www.shonan-health-innovation-park.com/siteassets/pdfs/news/innovation-quarterly/vol.2_2021-04/2021-04-innovation-quarterly-03_vcreport_j.pdf