歩いてお金が稼げる時代!?move2earn「STEPN」とは何か?

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歩いてお金が稼げる時代!?move2earn「STEPN」とは何か?

「メタバース」と同じくバズワードになった「web3.0」。web1.0やweb2.0からweb3.0へ移行することにより、ゲーム業界に新たな「ブロックチェーンゲーム」という分野が誕生した。今回は、ブロックチェーンゲームの中でも、2022年1月からアプリがリリースされユーザー数が急増している、move2earn「STEPN」を調査した。

ブロックチェーンゲームとはなにか

ブロックチェーンゲームはこれまでのオンラインゲームと何が違うのか

ブロックチェーン技術をゲームに応用したブロックチェーンゲーム、技術的に何が優れているのだろうか。
従来のオンラインゲームでは、データ改竄によるチート行為や他人のアイテムの勝手な転売など不正行為が大きな問題となっている。不正行為は、ゲームのバランスや世界観の崩壊や他人のデータの悪用などにつながるため、ゲームの運営側とのいたちごっこが課題である。
一方で、従来のオンラインゲームに比べ、極めて機密性の高いブロックチェーン技術を使用することで、不正行為が難しくなり、ゲームを安全かつ安心してプレイできる環境整備につながる。

ブロックチェーンゲームとNFTがどう絡むのか

透明性が高く、改ざん不能なブロックチェーンの仕組みを利用することで、デジタル上のNFTにも資産的価値をつけることが可能になる。また、それらのNFTをプレーヤー同士で自由にトレードしたり、オリジナルのNFTを発行したりすることも可能だ。
また、ブロックチェーンは仮想通貨のベースとなる技術であるため、仮想通貨との親和性も高く、ゲーム独自の仮想通貨を発行したり、その独自の通貨を使用してゲーム内のマーケットで安全に取引することができる。
そのため、これまでの「ただ遊ぶためのゲーム」ではなく、「遊びながら稼ぐことができるゲーム」というコンセプトであるplay2earn(play to earn)のサービスや所持するNFTアイテムを売買するシステムが楽しめる。

STEPNの概論について

STEPNのコンセプト"move2earn"とは

move2earnとは、運動をすることでお金を稼ぐことができる、というコンセプトのサービスを指す。運動するとお金が稼げることが、運動のモチベーションへと繋がり、良い運動習慣を身につけることを目的とした試みである。
ブロックチェーンを組み合わせることで、NFTとの交換や仮想通貨との交換する仕組みのサービスが多く、類似サービスとしては、play2earnで有名な「Axie Infinity」やフィットネスアプリStravaを使用する「dHealth network」などが挙げられる。

move2earnからmove & earnへコンセプトが変更された

2022年2月4日にSTEPNは、表現をMove2EarnからMove & Earnに変更した。「稼ぐために運動する」という表現が近いmove2earnから、「運動して、かつ稼げる」というmove & earnとすることで、稼ぐことを必要以上に強調し過ぎないように対策したと考えられている。

STEPNで使われる通貨は仮想通貨GST、GMTと取引通貨SOLの3つである

STEPNはSolana(ソラナ)のブロックチェーン上に構築されており、ゲーム内の独自のトークンを発行している。このゲームで出てくる仮想通貨は以下の3種類がある。
・SOL=スニーカーを購入するために必要な仮想通貨
・GST(Green Satoshi Token)=運動することでもらえる仮想通貨(スニーカーのレベルアップなどに使える)
・GMT(Green Metaverse Token)=ガバナンストークン(ゲーム内の運営に関われる※開発中)
スニーカーを購入する際には、Solanaブロックチェーン上のネイティブトークンであるSOLを使い、ゲーム内で貰える報酬は現状GSTである。各仮想通貨はそれぞれ交換することができるため、稼いだGSTはゲーム内で使用するだけでなく、仮想通貨に換金することも可能である。

どれくらいのユーザー数がいるの?

STEPN公式Twitterが発表するアクティブユーザー数は2月21日時点で、21,000人(DAU ) と66,000人(MAU)となっている。推移はグラフのようである。(参考

STEPNのサービス詳細について

スニーカーを装備することで移動すると仮想通貨を得ることができる

ユーザーはアプリ内のマーケットプレイスでスニーカー形のNFTを購入orレンタル(今後実装予定)することで、スニーカーを装備できる。装備した状態で「移動」することで、ゲーム内トークンGSTを獲得することが可能となる。

スニーカーの種類と違いはなにか?

スニーカーは走る速度に合わせて、Walker、Jogger、Runner、Trainerの4種類が用意されている。

Walker

ウォーキング用で時速1キロから5キロ

4 GST / 1 Energy

Jogger

ジョギング用で時速5キロから9キロ

5 GST / 1 Energy

Runner

ランニング用で時速9キロから15キロ

6 GST / 1 Energy

Trainer

時速制限なし

4~6.25 GST / 1 Energy

また、レアリティも存在し、Common、Uncommon、Rare、Epic、Legendaryと幅広い。レアリティが高くなるにつれて総合的なパラメーターも高くなる使用である。パラメーターは、以下の4種類となっている。

Efficiency:消費エネルギーあたりのGST収益が高くなる、マラソンモードだとリーダーボードポイントの獲得が早くなる

Luck:ミステリーボックスのドロップ頻度が上がり品質も良くなる、スニーカーを貸し出しているときも適用される

Comfort:GMT収益が高くなる(未実装)

Resilience:耐久値が減りづらくなり、修理費用も安くなる

それぞれのスニーカーはNFTであり、個々のスニーカーの初期パラメーターは一つひとつ異なっている。RPGゲームのように購入したスニーカーをレベル上げすることも可能である。

スニーカーはアプリ内のマーケットで取引可能である

スニーカーはアプリ内のマーケットで取引される。最低価格は現状10SOL付近(およそ日本円にして10万円)で取引されている。ただし、SOLの仮想通貨自体の価値変動やアプリ内マーケットでの最低売買価格の変更などにより、随時変動することは留意する必要がある。

スニーカーのレベル上げにはスニーカーを装着して走ること獲得したGSTが必要である

スニーカーを装着して走ると、スニーカーのパラメーター(Efficiency)やレア度、走った距離などによって毎回GSTが発行される。GSTを用いてスニーカーのレベルを上げると、最もベーシックなcommonのスニーカーであれば、レベルが1上がるごとに4pt獲得でき、それを4つのパラメーターに自由に振り分けていける。その中でも、Efficiencyを向上させると、スニーカーを履いて運動することでGST稼ぐ効率も上がる。

実際どれくらい稼げるのか?

これは上記のスニーカーの相場と同様、SOLやGSTの価値変動、スニーカーのEfficacyにより変化するポイントではあるが、一般的なcommonのスニーカーの元手の回収は1ヶ月が目安であると言われている。レア度の高く、パラメーターが高いスニーカーを使用するプレーヤーは、1日で数万円を稼ぐことも可能だ。

STEPNのこれまでと今後

STEPNが公開するプロダクトロードマップ

2021年8月よりSTEPNの構想が作られ、そこからわずか4ヶ月でベータ版を公開。2022年1月からは各種アプリ内でのトレード機能やマーケット機能が開始され、3月にはIEOやIDOによる資金調達を予定している。

今後注目が集まるものとして、2022年のQ3やQ4に予定されている、クエスト機能、レンタル機能、オンラインマラソンのリリースが挙げられるだろう。
特にレンタル機能がリリースされると、シューズの所有者からレンタルすることが可能となるため、高額なシューズを購入しなくても気軽にmove2earnを体験することが可能になると予想され、ユーザー数の増加に直接的につながると考えられる。

ヘルスケアサービス上どんな価値がありそうか?

STEPNが提供する今回のサービスモデルは、これまで市場で展開されてきたヘルスケアサービスに類似するものがある。それは、歩くことによって健康になろうキャンペーンなどである。

例えば、住友生命が展開するVitalityや、サントリーが特茶のキャンペーンとして展開するウォーキングキャンペーンなどが今回の取り組みに類似する。やっていることは、歩くことによるインセンティブを与えることで、より顧客・ユーザーが歩くようになる行動変容を起こして、自社製品をより売り上げるためのきっかけにしようというものである。

一般的に、歩くことによるインセンティブに設計される具体的な報酬はそのサービス内やサービスと連携されたサービス内で使えるポイント付与などの形式や、Vitalityのように健康になることにより保険料支払いが減るようなものとなっている。

しかし、STEPNに関して言えば直接的にキャッシュと交換できるポイントを獲得することが出来る点や、またその交換可能なキャッシュが暗号通貨資産であることを考えると、歩くことによるインセンティブ設計における一番強烈な設計になっているのではないか。

そうした視点で見てみると、STEPNがどのようなサービス設計となっており、その中のユーザーがどのくらいアクティブなのか?、継続する仕組みはどのように設計されているのか?などはヘルスケアサービス事業者にとってとても参考になる事例なのではと考えられる。

ポンジスキームの可能性は排除できない

一方で、STEPNを含めたPlay to earnを標榜するブロックチェーンゲームは一種のポンジスキームなのではないか?という懸念も絶えない。

ポンジスキームとは

ポンジスキームとは、アメリカで天才詐欺師といわれた、チャールズ・ポンジが由来となった投資詐欺手法である。
出資を元手に運用して配当金として支払うと約束し資金を集めるが、実際の運用はせず、新しい出資者からの出資金を配当金として支払いながら、破綻することを前提にお金を騙し取る手法を指す。

STEPNはポンジスキームなのか?

現状、STEPNの運営コストやプレイヤーに配られるGSTは、新規参入したプレーヤーが最初に購入するスニーカーの金額が元手となっている。これは、新規のプレイヤーが流入し続けない限り、GSTの発行の限界やGSTの価値の下落につながることになる。
徐々にトークンの発行量が減り、新規参入者が減り、サービス開始当初に比べ低迷しているとされるplay2earnの代表格「Axie Infinity」と構造上問題視されるポイントが類似しており、STEPNの運営がいかに対処するか注目が集まる。

STEPNについて

法人名

STEPN by Find Satoshi Lab

所在地

Adelaide, South Australia, Australia

代表

Jerry Huang、Yawn Rong

設立

2021年

事業内容

ブロックチェーンによるフィットネスアプリの提供

HP URL

https://stepn.com/

京都府立医大6年生。アイリス株式会社のインターン業務、USCPA受験、研究室で論文執筆など医ンタープレナーとして楽しい日常を送ってます。趣味は、F1観戦とサイクリング。グルテンフリー6年目です。(Twitter:@Ogu_Yasuhiro6、Researchmap:https://researchmap.jp/OGURA-Yasuhiro)