<h2>電子カルテ市場の構造はどう区分されているか？今後の注目領域はどこか？</h2><p>2010年にクラウド型電子カルテが解禁されてから、電子カルテ市場の拡大が進み、近年では診療科別での電子カルテの普及が進んでいる。大病院向け、クリニック向け以外にも訪問看護、歯科領域、在宅領域、自由診療領域等、電子カルテ市場は複数にセグメント分けされる。<br> <br>本稿では電子カルテ市場分類と各分類の主要メーカーを確認した上で、今後の注目セグメントについて考えたい。</p><h2>現状国内の電子カルテ普及率は低い</h2><p>現状国内の電子カルテ普及率は低い。<span style="text-decoration:underline"><a href="https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000938782.pdf">2020年の厚生労働省の調べ</a></span>によると、日本の電子カルテ普及率は低く、<strong style="font-weight:bold">一般病院では57.2%</strong>で<strong style="font-weight:bold">診療所においては49.9%</strong>となっている。特に一般病院では病床規模が小さくなるにつれて、普及率が低くなる。規模別では400床以上が91.2%、200-399床が74.8%、<strong style="font-weight:bold">200床以下が48.8%</strong>である。この数値は<span style="text-decoration:underline"><a href="https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000685914.pdf">米国</a></span>の<strong style="font-weight:bold">病院85-100%</strong>、<strong style="font-weight:bold">診療所80%</strong>、隣国の<span style="text-decoration:underline"><a href="https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000548451.pdf">韓国</a></span>の<strong style="font-weight:bold">病院91.4%</strong>、<strong style="font-weight:bold">医院77.0%</strong>に比較すると差は歴然である。</p><h2>電子カルテ市場はいくつかの市場に細分化されている</h2><p><img src="https://storage.googleapis.com/healthtech-eye-images/2d260726-457c-4e37-b90b-5271b9dce831-ehr-market.png" class="small"></p><figcaption class="caption"></figcaption><p></p><p></p><p>電子カルテ市場はいくつかのセグメントに細分化される。それぞれの市場の特徴と代表的な企業を見ていこう。<br> </p><h3>大病院向け領域</h3><p>電子カルテ市場セグメントの中では最も大きい市場である。オンプレミス型が中心となっていたが、近年ではクラウド化が進む中で、クラウド型に移行する施設も出てきた。<br>・富士通 「<a href="https://www.fujitsu.com/jp/solutions/industry/healthcare/products/lifemarkhx/">HOPE LifeMark-HX</a>」<br> ・NEC 「<a href="https://jpn.nec.com/medical_healthcare/solution/hr/index.html">MegaOakHR</a>」<br>・ソフトウェアサービス 「<a href="https://www.softs.co.jp/business/ekarte.html">新版e-カルテ</a>」 <br>・シーエスアイ「<a href="https://www.csiinc.co.jp/solution/mirais/">MI・RA・Is/AZ</a>」</p><h3>クリニック向け領域</h3><p>2010年にクラウド型電子カルテが解禁されてから、導入が進んだセグメントである。クラウド型はオンプレミス型と違って導入コストが低いためクリニックとっても導入しやすくなっている。<br>・エムスリー株式会社「<a href="https://digikar.co.jp/">M3 DigiKar</a>」<br>・株式会社メドレー「<a href="https://clinics-cloud.com/karte">CLINICSカルテ</a>」<br>・PHC株式会社「<a href="https://www.phchd.com/jp/medicom">メディコム</a>」<br>・株式会社Donuts　「<a href="https://clius.jp/">CLIUS</a>」<br> </p><h3>歯科領域</h3><p>歯のイラスト、レントゲンシステムとの連携等歯科領域に特化した電子カルテのサービス。<br>・メディア株式会社「<a href="https://www.media-inc.co.jp/product/ecw/">With</a>」<br>・株式会社オプテック「<a href="https://ssl.opt-net.jp/denshi-karute.php">Opt.one3</a>」<a href="https://healthtech-db.com/companies/62d8e4057bdae9999d68ffe4"><br> </a></p><h3>訪問介護領域・在宅領域</h3><p>一般的な医療機関と違って、患者の元へ訪問する必要がある。訪問スケジュールや在宅患者一覧などの機能を有する。<br>・株式会社eWeLL「<a href="https://ewellibow.jp/">iBow</a>」<br>・株式会社ワイズマン「<a href="https://www.wiseman.co.jp/melutasu/">MeLL+</a>」</p><h3>自由診療領域</h3><p>保険診療とは違って、治療費を全額負担する必要がある領域。美容整形やAGA治療など様々な領域で利用されるカルテ。<br>・株式会社メディカルフォース 「<a href="https://service.medical-force.com/">medicalforce</a>」<br>・株式会社メディベース「<a href="https://medibase.cloud/">MEDIBASE</a>」</p><h3>産婦人科領域</h3><p>妊婦健診、不妊治療管理等産婦人科に特化した機能を有している電子カルテ。<br>・株式会社クリプラ「<a href="https://clipla.jp/luna/">CLIPLA Luna</a>」</p><h3>精神科領域</h3><p>家族歴、生活歴、治療歴、精神状態等の精神科領域に特化した情報を記入することができる。<br>・PHC株式会社「<a href="https://www.phchd.com/jp/medicom/hospitals/live">Live</a>」</p><h2>今後の注目セグメントはどこか？</h2><p>上記において電子カルテ市場の分類について紹介してきた。しかし、大規模病院をはじめある程度電子カルテの導入が進んでいる市場についてはカルテのアップデートがマネタイズモデルの中心で市場規模としては横ばい状態である。<br> <br>上記で紹介した市場分類のうちでも伸びている、または伸びる余地のあるセグメントはどこか？について考えていきたい。</p><h3>中小病院向け領域は、普及率が低くまだ新規開拓の余地がある</h3><p>上記の国内での電子カルテの普及率で述べたように、一般病院では病床規模が小さくなるにつれて、普及率が低い。特に200床以下になると48.8%であった。この数値から中小病院向け領域は普及率が低く、新規開拓の余地があることがわかる。<br><br>また2022年6月8日、株式会社ヘンリーがシリーズBラウンドで7.3億円の資金調達を実施した。この資金調達を受けて、ヘンリーは中小病院向けクラウド型電子カルテ・レセコンシステムの開発および営業・サポート体制の強化に充てることを発表している。ヘンリーはこれまで中小規模病院でネックとなっていた、病院カルテのシステム開発の複雑さとコスト高の問題をクラウド型カルテの開発で解決し、中小規模病院における導入を進めるメインプレイヤーになると思われる。</p><h3>高齢化でニーズが高まる訪問介護・在宅領域は今後伸びていく可能性が高い</h3><p>2022年9月16日、訪問看護専用電子カルテの株式会社eWeLLが東京証券取引所、グロース市場に上場した。今後高齢化が進んでいく日本において訪問介護・在宅領域市場は注目の市場の一つである。株式会社eWeLLによる<a href="https://tyn-imarket.com/pdf/2022/9/16/140120220915533076">「事業計画及び成長可能性に関する事項」</a>によると2017年から2022年の5年間にかけてeWeLLの年平均成長率(CAGR)は売上が64.0%で、契約数が56.3%となっており、同社は急成長を遂げている。</p><p><img src="https://storage.googleapis.com/healthtech-eye-images/47cfacb5-eb76-4ab1-825e-48e4d560bbb0-e.png" class="small"></p><figcaption class="caption"></figcaption><p></p><p></p><p></p><p>株式会社eWeLL<a href="https://tyn-imarket.com/pdf/2022/9/16/140120220915533076">「事業計画及び成長可能性に関する事項」</a>より</p><p></p><p>また、介護訪問市場規模全体から見ても2009年の2,048億円から2019年の5,824億円まで年平均成長率(CAGR)が11.0%となっており、2025年には10,903億円にも達すると予測されている。今後高齢化が進むにつれて、介護訪問市場の拡大が進むのと同時に訪問介護領域での電子カルテニーズも伸びる可能性が高い。</p><p><img src="https://storage.googleapis.com/healthtech-eye-images/478e6e69-1d57-49d4-953c-216476fcb437-helpmarket.png" class="small"></p><figcaption class="caption"></figcaption><p></p><p></p><p></p><p>株式会社eWeLL<a href="https://tyn-imarket.com/pdf/2022/9/16/140120220915533076">「事業計画及び成長可能性に関する事項」</a>より</p><p></p><h3>自由診療領域、特に美容整形などを中心に新しいサービスの導入が進んでいる</h3><p>近年美容整形やAGA治療をはじめとする自由診療領域が成長傾向にある。SNSでの投稿やカミングアウトをするインフルエンサーが出てきていることも市場成長の背景にある。矢野経済の「2022 美容医療の展望と戦略 ～市場分析編～」によると、2017年の3,253億円から2019年には4,070億円と市場は伸びており、コロナ禍の影響を受けて少し落ち込んだが、回復傾向にある。<br><br> この市場の成長に伴い、この領域に特化した自由診療領域の電子カルテのニーズも高まっている。自由診療領域に特化した電子カルテを提供する株式会社メディカルフォースは2022年8月24日に、シリーズAラウンドにおいて6億円の資金調達を実施したことを発表した。同社は2021年にサービスをローンチしてから約1年で110の医院で導入に成功しており、急成長している。</p><p><img src="https://storage.googleapis.com/healthtech-eye-images/18d5e370-4fed-45f0-96bf-61168238ffcc-medicalforce.png" class="small"></p><figcaption class="caption"></figcaption><p></p><p></p><p></p><p><a href="https://service.medical-force.com/%e3%83%97%e3%83%ac%e3%82%b9%e3%83%aa%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%b9/145/">プレスリリース</a>より</p><p>以上電子カルテ市場の構造と今後の注目セグメントについて考えてきた。全体的にはある程度成熟しているマーケットではあるが、その中でもセグメント別の普及率や資金調達状況等は今後の市場成長を考える上でヒントとなる。今後も、それぞれのプレイヤーの動向に注目である。</p><p></p>

2010年にクラウド型電子カルテが解禁されてから、電子カルテ市場の拡大が進み、近年では診療科別での電子カルテの普及が進んでいる。大病院向け、クリニック向け以外にも訪問看護、歯科領域、在宅領域、自由診療領域等、電子カルテ市場は複数にセグメント分けされる。本稿では電子カルテ市場分類と各分類の主要メーカーを確認した上で、今後の注目セグメントについて考えたい。

電子カルテ市場の構造はどう区分されているか？今後の注目領域はどこか？

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株式会社メディベースのプレスリリース（2022年7月13日 10時10分） LINE連携を開始！ デジタル会員証LINEミニアプリ 『Lメンバーズカード』で診察券・カルテを管理 - [自由診療に特化したクラウド型電子カルテ MEDIBASE]

【LINE連携を開始！】 デジタル会員証LINEミニアプリ 『Lメンバーズカード』で診察券・カルテを管理 - 「自由診療に特化したクラウド型電子カルテ MEDIBASE」

株式会社メディベースのプレスリリース（2022年6月2日 13時08分）電子カルテ導入時にかかる費用の1/2が補助される！[自由診療に特化したクラウド型電子カルテMEDIBASE]がIT導入補助金の対象ツールに認定されました。

電子カルテ導入時にかかる費用の1/2が補助される！「自由診療に特化したクラウド型電子カルテMEDIBASE」がIT導入補助金の対象ツールに認定されました。

株式会社メディベースのプレスリリース（2022年6月2日 16時25分）株式会社メディベース、国際規格に基づく情報セキュリティマネジメントシステム（ISMS）認証を取得

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